クーリングオフ
「詐欺まがいの商法にお金を払ってしまった」「情報商材を買わされてしまった」といった場合、クーリングオフ制度を利用することでお金を取り戻せる可能性があります。クーリングオフ制度は特定の契約につき、一定期間消費者側が無条件で契約の解除や申し込みを行える制度です。
ここではクーリングオフ制度の概要や使い方について解説します。
クーリングオフ
クーリングオフとは商品、サービスを申し込み・購入した場合に、一定期間申し込みの撤回や契約の解除を認める制度です。
通販や訪問販売といった特定の取引について認められます。
民法は原則として、締結した契約の一方的な解除、申し込みの撤回は認めていません。
しかし、業者によっては消費者の情報不足や無知につけこみ、消費者にとって不利な契約を結ばせるケースも多く見られます。
そこで、消費者トラブルが起きやすい特定の取引については、契約後も一定期間消費者に対して「本当に契約をしていいのか」と考えさせる制度がもうけられました。
これがクーリングオフです。
クーリングオフが適用される取引
クーリングオフはすべての取引に適用されるわけではありません。特定商取引法で定められた以下の取引に限定されます。
訪問販売
訪問販売は、業者が消費者の自宅などを直接訪問して商品・サービスを売るという取引です。
キャッチセールスやSNSを通じて勧誘する場合も含まれます。
通信販売(通販)
通信販売は、テレビやWeb広告、新聞折り込み広告などを見た消費者が、電話やWeb、Fax、SNSなどを通じ、業者に対して商品などの申し込みを行うという内容の取引です。
いわゆるテレビショッピングや、Webのランディングページを通じて商品を購入する場合などが具体例としてあげられます。
電話勧誘販売
電話勧誘販売は、業者が電話で勧誘し、商品の販売等を行うというタイプの取引です。
いわゆる業者からの営業電話によってサービスの勧誘を受ける場合などが具体例としてあげられます。
連鎖取引販売
連鎖取引販売はマルチ商法の一種です。「他の人を勧誘するとマージンがもらえる」と消費者を勧誘し、商品等を買わせるという内容の取引です。
業務提供誘因取引
業務提供誘因取引は「仕事を提供するから」と消費者を勧誘したうえで、その仕事に必要であるという触れ込みでソフトや教材などの商品を買わせるものです。
典型例としては内職商法、モニター商法があげられます。
特定継続的役務提供
特定継続的役務提供は特定のサービスについて、長期かつ高額の契約を締結させる場合をいいます。
具体的には、以下のサービスがあげられます。
- ・エステ
- ・語学教室
- ・家庭教師
- ・パソコン教室
- ・学習塾
- ・結婚相手紹介サービス
- ・美容医療
いずれも高額になりやすい取引であり、一定期間継続的に契約し続けるという点に特徴があります。なお店舗で直接契約する場合も含まれます。
訪問購入
訪問購入とは、消費者の自宅などを業者が訪問し、着物や貴金属といった消費者の持ち物を買い取るタイプの取引をいいます。
いわゆる訪問買取です。
なかには、古着などの不要品を引き取るフリをして高額の貴金属や着物をむりやり安く買い取る、いわゆる「押し買い」を行う業者も存在します。
クーリングオフのできる期間
クーリングオフ制度を利用すれば、一定期間は無条件で商品・サービスの解約が可能です。
またクーリングオフのできる期間は申込書面もしくは契約書面を受け取った日から、8日間あるいは20日間となります。なお、契約書面に不備があった場合は、そもそも書面を受け取っていないものとして扱われます。
クーリングオフ期間が8日間となる取引
クーリングオフ期間が8日間となる取引は次の4つです。
- ・訪問販売
- ・電話勧誘販売
- ・特定継続的役務提供
- ・訪問購入
クーリングオフ期間が20日間となる取引
クーリングオフ期間が20日間となる取引は次の2つです。
- ・連鎖販売取引
- ・業務提供誘引販売取引
クーリングオフのやり方
クーリングオフは、契約解除通知書を相手に送ることで行えます。
特に通知の仕方にルールがあるわけではありませんが必ず書面で行うようにしましょう。
はがきを使って通知を行う場合は通知書のコピーをとったうえで、簡易書留または特定記録で送るとよいでしょう。
契約して後悔した場合はすぐに相談を
クーリングオフ期間を過ぎた場合であっても、商品申し込み時の説明に虚偽があったケースなどでは契約を解除することができます。
いずれにしても、こうした契約をめぐるトラブルについては、できるだけ早く対処することが肝心です。
高額な契約をして後悔している場合や詐欺的商法などの被害にあった場合には、一人で悩まず早めにご相談いただければと思います。