新型コロナウイルス感染症に便乗した給付金詐欺
その他新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という。)は、世界中の人々を不安にさせ、恐怖に陥らせました。世間が騒ぎ、不安になっているとき、詐欺師や悪質業者は、この機会を絶好のチャンスだと思い、様々な手口でだまします。とくに、新型コロナに関する多種多様な給付金の支給が開始してから、そこに付け込んだ詐欺事件が後を絶ちません。新型コロナに便乗した給付金詐欺の代表的な手口として、成りすまし詐欺というものがあります。
成りすまし詐欺とは
総務省や地方自治体などの行政機関、その代理業者などを名乗って成りすまし、電話がかかってきたり、封書やメールが送られてきます。
たとえば電話の場合、「給付金は受け取りましたか。」「代理で申請ができます。」などの話をされます。そして、手続きをするために、住所や氏名、金融機関の口座番号や暗証番号、マイナンバーなどの個人情報が必要だとして聞き取られる、というのが主な手口です。
封書だと、上記と同様、金融機関の口座番号や暗証番号を書く欄が設けられており、記入後返送するように書かれています。
メールは、本文に「特別定額給付金の申請はこちらからアクセスしてください。」と書かれ、URLが添付されており、アクセスすると、金融機関の口座番号などの個人情報の入力をするようになっていた、という手口が多いです。
実際の具体的事例
- ①「80歳以上の方はコロナで補助金が60万円出ます。キャッシュカードと印鑑証明書1通を用意して自宅で待機してください。」と電話があった。
- ②厚生労働省を名乗る男から、「コロナ対策の助成金が下りる。」と電話があった。
- ③女の声の自動音声ガイダンスが流れ、「新型コロナウィルスの流行で給付金があります。案内に従ってください。」という内容の電話が一方的にあった。
- ④市役所福祉課を名乗る女から、「コロナ対策の書類を送ったが届いているか。」という内容の電話があった。
- ⑤東京都コロナ対策本部を名乗る男から、「コロナ給付金10万円が出ます ので、市役所の職員が書類を持って伺います。お時間は何時がよろしいでしょうか?」という内容の電話があった。
総務省や地方自治体などの行政機関が絶対に行わないこと
- ①ATMの操作をお願いすること
- ②「特別定額給付金」の給付のために、手数料の振込みを求めること
- ③世帯構成や口座番号などの個人情報を電話や郵便、メールで問合せをする
- ④通帳やキャッシュカード、マイナンバーカードを自宅に受取りに行くこと
対応策
行政機関名を確認して、電話ならすぐに切り、メールなら無視します。電話で伝えられた番号や封書に書かれている連絡先は、詐欺グループの連絡先であることが多いです。よって、確認をする場合は、その行政機関の公式サイトなどで正しい連絡先を調べて連絡したり、消費者ホットライン(188番)に問い合わせてアドバイスをもらうことが適切です。
個人情報を教えてしまったら
すぐに金融機関に連絡し、口座を凍結してもらいます。また、警察に被害届を出すことも忘れずに行います。ただ、詐欺師はすぐに出金するのが常套手段ですので、すでに引き出されている場合が多いです。また、警察に被害届を出すことはできますが、そこから詐欺師を特定して捜査し、お金が返ってくることは稀です。単独ではなくグループで詐欺行為を働くことが多く、手下が捕まっても首謀者を含め全員を逮捕できないと、被害を食い止めることはできません。また、被害者のお金はすでに使われていることが多く、お金を取り戻すことは不可能に近いです。ただし、多くの被害届から犯人たちの特定につながることはありますので、通報は必ず行ってください。
このように、被害の回復は難しいことが多いので、少しでも変だと思ったら、どこかに相談することをおすすめします。